声がかれる
考えられる病気
どんな人にどんな時に現れるか
声がかすれる、声がかれるなどの状態を嗄声といいます。嗄声(音声障害)は小児から高齢者まで広い年齢層で認め、その原因は生活習慣、感染症、腫瘍、全身疾患など多岐にわたります。治療は経過観察から手術加療まで疾患によって大きく異なります。
小児期の嗄声で多いのは急性炎症性疾患です。急性声門下喉頭炎(クループ)は生後6ヶ月から3歳の乳児期に多くみられます。犬の遠吠えの様な咳(犬吠様咳嗽)が特徴的な所見です。喉頭異物は1歳から3歳に多く嗄声の原因になることがあります。
喫煙や飲酒といった生活習慣も嗄声の原因になります。喫煙は慢性炎症、ポリープ様声帯、喉頭白板症、喉頭癌の原因になり嗄声を認めることがあります。飲酒も慢性炎症、声帯ポリープ、ポリープ様声帯、逆流性食道炎、声帯白板症、喉頭癌、下咽頭癌などの原因になり嗄声を認めることがあります。
喉頭の感染症である喉頭蓋炎、声帯炎や後鼻漏(鼻が喉に流れる)を認める急性・慢性副鼻腔炎でも嗄声の原因になります。
喉頭癌、声帯ポリープ、ポリープ様声帯、声帯結節、声帯溝症、声帯乳頭腫など声帯の疾患でも嗄声の原因となります。特に喉頭癌は喫煙、飲酒、高齢が原因になり早期の治療が必要となるため早期に診断する必要があります。
声帯を動かす神経を反回神経といいます。反回神経に損傷があると声帯半側の運動障害を認めます。反回神経麻痺を認める疾患には甲状腺腫瘍、肺腫瘍、食道腫瘍、胸部大動脈瘤などがあります。頸部のエコー検査や胸部CT検査などで原因疾患を精査し治療する必要があります。
神経筋疾患のパーキンソン病や多形統萎縮症、進行性核上性麻痺、筋委縮性側索硬化症、球脊髄性筋委縮症、重症筋無力症、Guillan-Barre症候群などでも嗄声を認めることがあります。
診断には詳しい問診と鼻咽腔内視鏡検査、頸部エコー検査や頭部、胸部画像検査などを行います。
診療チェックポイント
- 喫煙、飲酒があるか
- 声を沢山使う仕事や趣味があるか
- 風邪をひいていないか
- 嗄声以外の症状はあるか